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2026-10-06

仕立て屋の視点

4年前まで、ファンシーツイードが嫌いでした。私が一着のジャケットに出会うまで

4年前まで、ファンシーツイードが嫌いでした。


 「私が一着のジャケットに出会うまで」


実は私、4年前まで
ファンシーツイードが好きではありませんでした。



なぜって?



いろいろな糸が織り込まれていて、
遠目で見ると、なんだかぼんやりした色に見える。


そして私の場合、顔色がくすんで見えるんです。


年齢を重ねてきて、やっぱり思うのは、


・顔色が良く、つややかに見えること
・1歳でも若く見えること
・生き生きして見えること



これ、大事でしょ?



だから私は、

「ファンシーツイードは、私には似合わない」

そんなふうに思っていました。


ある日、突然、知らない電話番号から電話がかかってきました。


私、知らない電話には極力出ないんです。


でも、その日はなぜか出た。


「Instagramを見て、素敵なオーダー洋服を作っていらっしゃったので、わが社の生地を一度見ていただけたらと思い、お電話しました」


そんな電話でした。



そして、そこで出会ったのが、
インポートのファンシーツイード。


生地を見た瞬間、

「わぁ!こんな私にピタリのファンシーツイードがあったんだ!」

と思ったんです。


そこから、私のファンシーツイードへの見方が変わりました。

 

その生地で、ジャケットを仕立てることにしました。


レースやブレードをふんだんに使って、
私の「好き」を思いっきり詰め込みました。


もう、完全に自己満足です。


「私はこれが好き!」


ただ、それだけ。



ところが。


そのジャケットを着て出かけると、

「めっちゃいいね!」

と、褒めていただけるんです。


着るたびに、褒めていただける。


そして、4年たった今でも、

「そのジャケット、素敵!」

と言っていただける。


これって、すごくないですか?


人から褒めてもらうって、
一番、自己肯定感を上げてくれるんですよね。


自分が好きで作ったものを身につけて、
「それ、素敵!」と言ってもらえる。


その嬉しさって、想像以上なんです。


 

そして、さらに嬉しいことが起こりました。


私がそのジャケットを着ていると、

「私も欲しい!」

と言ってくださる方がいるんです。


もちろん、生地そのものの魅力もあります。


でも、このジャケットは
「自分が着て満足する」だけではない。


周りの人まで笑顔にしてくれる。


そのことが、私の「好き」をさらに大きくしてくれたんです。

考えてみると、この一着には
たくさんの人の「好き」が詰まっています。


糸をデザインする人。


その糸を組み合わせ、
一枚の生地に仕上げる人。


その生地の魅力を見つけて、
私たち作り手へ届けてくれる人。


そして、それを洋服に仕立てる私。


さらに、その一着を着る人の「好き」と、
その人自身の魅力。


たくさんの「好き」がつながって、
一着の洋服になっていく。


そして、その洋服を着た人が笑顔になる。


「これ、私好き!」


そう思って袖を通した人を見て、
周りの人も「素敵ね」と笑顔になる。


その笑顔が、また誰かの笑顔につながっていく。


私は、そんな笑顔の連鎖がたまらなく幸せなんです。

だから今、ファンシーツイードを見ると、
その生地の向こう側にいる人たちを思います。


糸を生み出す人。


生地を生み出す人。


その生地と私たち作り手をつないでくれる人。


そして、その生地に心を動かされ、
自分のための一着を選ぶ人。


私は、その間をつなぐ人でありたい。


一枚の生地から始まった「好き」が、
人から人へとつながっていく。


それが、今の私にとって、
ファンシーツイードの一番の魅力なのかもしれません。



4年前まで、


「私には似合わない」


と思っていたファンシーツイード。


まさか今、
こんなにも夢中になっているなんて。


人生、何に出会うかわかりませんね。